光コムレーザによる3次元絶対位置測定 本文へジャンプ

公益財団法人JKAの平成27年度自転車等機械工業振興事業


補助事業番号  
27-110

補助事業名   平成27年度 光コムレーザによる3次元絶対位置測定 補助事業

補助事業者名  東京大学高増研究室

 

1 研究の概要

 光コムレーザによるパルス干渉計を利用して3次元絶対位置測定システムの開発を行った.まず,ボールレンズをターゲットとしたパルス干渉計を構築し,1mの測長に対して,サブマイクロメートルの精度を達成した.さらに,パルス干渉計により3次元測定機の精度評価を行い,精度,測定時間ともに従来手法より優位であることを示した.

 

2 研究の目的と背景

 日本の産業界において,3次元に対応した新しいものづくりを高精度化するために,精度が高く利用しやすい3次元絶対位置を測定するシステムが要求されている.光コムレーザを利用した3次元絶対位置計測システムは精度および自由度が高いが,利用方法が難しいとされている.本研究では,光コムレーザによりパルス干渉計を構築し,ファイバーエタロンを用いたパルス間隔の短縮および測定ターゲットをボールレンズとすることで,自由度が高い3次元絶対位置測定システムを構築する.構築したシステムを,3次元測定機の精度評価に適用することで,システムの性能評価を行い,産業界における3次元構造物の精度評価に利用できることを確認する.

3 研究内容

 光コムレーザによるパルス干渉技術について,基礎的な実験を行った.実験は,図1の写真に示すように光学素子を個別に並べることで実施した.この基礎実験によって,開発する装置仕様を決定することができた.

 

Fig6

図1 光コムレーザによるパルス干渉技術の基礎的な実験

 基礎実験では,鏡面,コーナーキューブプリズム,平面などをターゲットとして実験を行った.図2に示すような構成で,ボールレンズをターゲットとしたパルス干渉計の構築および基礎実験を行った.このシステムによりパルス干渉計を3次元的に適用できることを示せた. 

図2 光コムレーザ用光ファイバー干渉測定システム

 図3は,三次元座標測定機にボールレンズを搭載し,製作したパルス干渉計により三次元座標測定機の精度評価を行っている実験の例である.ここでは,ステップゲージによる従来法との比較により,精度評価を行った.三次元座標測定機に対して,サブマイクロメートルの精度を確認した.

 

  

    (a)パルス干渉計およびボールレンズ   (b)ステップゲージによる評価

図3 パルス干渉計による三次元座標測定機の精度評価およびステップゲージとの比較

 

4 本研究が実社会にどう活かされるかー展望

 本研究では,光コムレーザによりパルス干渉計を構築し,ファイバーエタロンを用いたパルス間隔の短縮および測定ターゲットをボールレンズとすることで,自由度が高い3次元絶対位置測定システムを構築した.構築したシステムを,3次元測定機の精度評価に適用することで,システムの性能評価を行い,産業界における3次元構造物の精度評価に利用できることを確認した.この結果として,3次元測定機の精度評価,素粒子観測のためのシステムの3次元位置評価,非球面測定機の絶対精度評価などの応用が計画されている.

 

5 報告書

光コムレーザによる3次元絶対位置測定報告書