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NEDO国際共同研究
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では,昭和63年度より国際共同研究助成事業を実施している.この事業は,優れた研究を行う国際共同研究チームに対して助成することにより,産業技術の国際的向上を図るとともに国際交流の進展に寄与することを目的としたもので,以下の4分野についての「国際共同研究チーム」を研究の対象としている.
- 物性分野
- エネルギー分野(発電関連・有効利用)
- 国際標準創成分野
- 地球環境分野(基礎・実用化)
1999年度のNEDO国際共同研究として,応募のあった120チームのうちで14チームが採用された.VCMMチームは,国際標準創成分野として採用され,研究期間は3年間,年間助成額はおよそ2000万円です.
研究課題:バーチャルCMM(三次元測定機)の国際標準化
高増 潔,東京大学工学系研究科,日本
- 古谷 涼秋,東京電機大学工学部,日本
- 黒澤 富蔵,通産省工業技術院計量研究所,日本
- 高辻 利之,通産省工業技術院計量研究所,日本
- Franz Waldele,Physicalish-Techniche Bundesanstalt (PTB、ドイツ標準研究所),ドイツ
- Heinrich Schwenke,Physicalish-Techniche Bundesanstalt (PTB、ドイツ標準研究所),ドイツ
- Nicholas Brown,CSIRO - National Measurement Laboratory (NML、オーストラリア標準研究所),オーストラア
- Esa Jaatinen,CSIRO - National Measurement Laboratory (NML、オーストラリア標準研究所),オーストラア
三次元測定機(CMM:
Coordinate Measuring
Machine)は、機械工業の分野で三次元的な寸法、位置、形状などを測定するために広く使われている。特に自動車産業においては、自動車の開発、部品の評価、金型の製作、安全性の試験、環境問題など全ての分野で必須の測定機となっている。一方、ISO9000シリーズおよびISO14000シリーズなどへの対応を考えると、全ての計測機器は国際標準にトレーサブルとなるように、校正されなければならない。しかし、従来の測定機と違って、三次元測定機は複雑な構造を持ち、複数の測定点を利用して測定するため測定戦略が必要なこと、ソフトウェアを利用してデータ処理をしていることなどを考慮すると、簡単にトレーサブルな校正を行うことができない。
この研究では、バーチャルCMMの概念を用いた三次元測定機の校正方法を開発し、その標準化を行うだけでなく、アジア・オセアニア地域における標準供給の体制を確立することを目標としている。バーチャルCMMは、計算機の中に三次元測定機の幾何学的モデルを作り、三次元測定機の誤差を計算機によってシミュレートし、測定誤差(測定の不確かさ)を推定するという、まったく新しい方法に基づく測定機の校正方法である。
この開発を行うことで,以下の波及効果が期待できる。
- 日本製の三次元測定機が国際的により普及する。
- 機械部品の国際的標準化により,世界的に機械部品(自動車用部品)などを輸出入でき、アジア・オセアニア地域の市場の国際化を推進できる。
- アジア・オセアニア地域の標準化を推進し、校正業務、認証業務、標準の供給などの新しい産業が創成される。さらに、この分野において、日本がアジア・オセアニア地域のリーダシップを確保できる。
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