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2005年版研究概要:知的ナノ計測分野


高増・高橋研究室の主だった研究をそれぞれ1ページにまとめてあります.
内容は,2005年4月のバージョンです.全体をまとめたPDFファイル(2005年4月版)もあります.

各研究テーマからそれぞれの概要へリンクが張ってあります.

研究テーマ 背景,目的など    
三次元計測における不確かさ推定の研究 三次元計測では,三次元測定機本体の不確かさ以外にも,測定対象,測定環境,測定戦略などの影響により,不確かさが変わるため,不確かさを正確に推定することが難しい. 本研究では,種々の条件における不確かさを理論的に推定する手法を研究する.  
Nano-CMMとNano-Probeの開発 ナノメートルの分解能で,表面を測定する方法はAFM,STMなどが実用化されているが,機械部品の寸法や形状測定に利用されているような,ナノメートルで三次元形状測定ができる方法(Nano-CMM: Coordinate Measuring Machine with nanometer scale)の開発は遅れている.
ナノCMMの開発(2002年) ナノCMM(nano-CMM)は,ナノメートル分解能の三次元座標測定機を開発する研究である.測定範囲は10mm×10mm×10mmと狭いが,分解能は10nmを目指している.下図は,ナノCMMの基本構成である.
XYステージは,2本のシリンダーの上に2つのV溝で乗っている.V溝にはテフロンシートが貼ってあり,ステージはフリクションドライブ機構によって駆動される.ステージの動きは,ミツトヨ製のホロゲージによって検出する.
測長AFMを用いたナノメートル標準の確立に関する研究 ナノメートル標準の確立が急務
  • ナノメートル計測における測定結果の高信頼性への要求
  • ナノメートル計測用標準試料で各種装置を校正
  • 原子間力顕微鏡は面内,深さ方向の双方の測定に適した装置
近接場光学顕微法によるlow-k内部欠陥検査 次世代の半導体デバイスを開発するためには寸法の微細化だけでなく構造や材料を改善することが必要である.新材料の一つである低誘電率層間絶縁膜(low-k)を配線構造に導入するには様々な問題がある.更なる低誘電率化を進めるためにlow-kに対してポーラス(空孔)構造を持たせてやる手法が一般的となっているが,ポーラス化による機械強度の低下やポーラス構造の検査・評価が困難なであり,非破壊の光学検査手法は未だない.
リング状スリット光を用いた三次元変位測定 複雑な三次元メカニズムのキャリブレーションを行う為には手先座標の三次元変位(位置)を高精度かつ柔軟に測定することが必要である.
やわらかい薄膜の3次元形状計測 チップの微細化に伴う,露光過程における焦点深度の微小化
レジスト表面に凹凸がパターンニングに影響,現在の最大凹凸差はおよそ50nmでxyz方向で数nmの精度でのレジストの形状測定が必要
AFMなどの機械接触によるレジスト形状の変形などを評価する.圧子で対象を押し込み,荷重とその変位を評価するナノインデンテーション法と比較する.
Investigation on Multifractal Dynamics of Human Heartbeat by Physiological Cardiovascular Model Multifractality of healthy human heartbeat has attracted interest, because autonomic pathologies with certain diseases are known to be associated with altered heart rate multifractality.
呼吸性洞性不整脈の抽出法を用いた生体負荷の評価 従来より高精度に自律神経活動を 評価する手法を提案する.提案手法を用いて作業負荷下における 作業者の精神的負荷(MWL)を評価する
  • 主観評価:アンケート(NASA-TLXなど)
  • 客観評価:作業のパフォーマンス(正答率や応答時間)
  • 生理評価:脳波,汗,心拍変動などを計測
平面リニアモータを用いたXYテーブルの高精度化 従来から使われているXYテーブルにおいて、姿勢精度を含めた多自由度の測定と補正が行われるが、統一的に評価する方法はまだ確立していない.本研究では、平面リニアモータを用いたXYテーブルの精度を評価し、校正する.
小型平面リニアモータを用いた移動トレイシステムの開発 セル生産を想定した作業を支援するために、作業者に手を差し伸べるシステム(AWB: Attentive Workbench)を提案する.
  • AWBの構成
  • 動作認識ビジョンシステム
  • 情報提示プロジェクタ
  • 作業者認識センサ
  • 移動トレイシステム
エバネッセント光を利用したナノ光造形 微小光学素子などサブマイクロオーダの分解能を持つ三次元造形法確立への需要が高まっているなか,柔軟性及びスループットの高いマイクロ光造形法にエバネッセント光を応用させることにより,要求分解能を持つナノ光造形法の確立を目指す.
エバネッセント露光による面内構造造形 微小光学素子,微小MEMSなどに要求される,サブマイクロメートルオーダの三次元造形法への需要:柔軟な三次元造形が可能であるマイクロ光造形法の露光エネルギとして,エバネッセント光を利用することにより,サブマイクロメートルオーダの三次元光造形法確立を目指す.本研究では特に一層の造形に着目し,面内において変調を与えたエバネッセント光強分布による面内の樹脂硬化形状の制御を行う.
光触媒を利用した微小構造創製 マイクロ構造体(微小光学素子,MEMS)の創製にはサブマイクロメートルオーダの加工分解能が必要
  • 光触媒を利用した新しい微細加工技術
  • サブマイクロメートルオーダの加工分解能
  • 金属による微小構造が創製可能
  • 加工形状の柔軟な制御
パラレルCMM(2003年度) 3つのパラレルリンクを用いた3自由度のパラレルCMMを開発している.この機構は,エンドエフェクタが並進の3自由度のみのため,エンドエフェクタに2自由度の回転機構を持ったプローブシステムを取り付けることで,三次元座標測定機が構成できる.
下図は,3自由度パラレルCMMの構成方法と試作した3自由度パラレルCMMの写真である.
吸気型ボールプローブの開発(2002年度) 吸気型ボールプローブは,細いシャフト(パイプ)と小さい球(ボール)から構成され,ボールはパイプ内の負圧によって保持されている.
ボールが測定物に接触すると,空気が外からパイプ内に流入する.この空気の流れを検出することで,接触プローブとして使用できる.
吸気型ボールプローブ